昭和島ウォーカー

於:シアター・ドラマシティ

近未来のロボット町工場。ロボット製作では先駆けだった工場も今ではすっかり大企業の下請けに。そこに二代目が戻ってきた……。

井ノ原快彦(V6)主演の舞台。共演に京野ことみ粟根まことら。そうそうたるメンバーによる舞台の作・演出は、ヨーロッパ企画主宰の上田誠。あくまでもメインは井ノ原さんであって、ヨーロッパ企画は「協力」であるこの作品。どうなんだろうな、でも上田作品は観たいよな、ってことで行ってきた。

観て一言。面白かった。しっかりがっちりヨーロッパ企画の舞台だった。客演やセットやその他諸々が豪華になったヨーロッパ企画の芝居。井ノ原さんら主演陣の良さも活かされ、ヨーロッパ企画陣の良さも活かされ、皆が良い役を演じていた。主演である井ノ原さんだからこそ演じられる良さ(他の人には演じられないというか演じてもらいたくないというか)が前面に出ていた。でも、ヨーロッパ企画らしさは損なわれていない。

ロボットと人間のコミュニケーションと。ロボット三原則にある「ロボットは人間に危害を加えてはならない」を守るために、危害を加えないようなロボットをつくろうとするけれど、人間は人間に対して危害を加えないのだろうか。危害とまでは言わなくても、誰かを傷つけることは日常的によくあることで、そうした傷つけあいを繰り返しながら(そしてもう二度と誰もが傷つかないようにと願いながら)、私たちは他者とのコミュニケーションをとって生きているのだ。ロボットに求めているそれは、少し無理があるし、ロボットのことは考えていない。なんというか、上田さんたちは、本当にロボットが好きなんだなぁ(そういうことではない)。

大きな劇場で繰り広げられる、いつもの群像劇は、いつもよりも少し感動的でラストもポジティブな余韻を残して終わる。ヨーロッパ企画の舞台として充分に楽しめた。こういう体験もいいと思う。これを機会に「ヨーロッパ企画って面白い」という人が増えるなら、それもまた良いことだ。

ついでに。客層が違うと文化も違う。これもまた面白い体験。