おせち料理

お正月といえばおせち料理だが、私はつくった例がない。昔々、母がつくっていた頃に少し手伝ったことがある程度だ。

お重に入ったおせちは、私が小学生の頃には毎年出されていた。子どもたちにはあまり好評ではなかったけれど(きんとんと数の子は好評だった)。その後は、正月休みに何か食べるものがあればいいということになり、大晦日になぜか大量のカレーがつくられ、お正月はカレーかお雑煮を食べるということになった。

時代が変わり、お正月でもスーパーが開いているようになると、母は、おせちはもとより大量のカレーもつくらなくなった。そんな中、90近くになる祖母は、独り暮らしにもかかわらず、今でも毎年おせちをつくる。こぢんまりとした小さなお重に、棒だらやらなますやら黒豆やらごまめやら……、ちゃんとつくって入れるのだ。祖母にとって、食は「節」と連動したもので、それをとても大事にしているのだろう。

そういう食のあり方はいいなと思いつつも、どうにもおせちをつくるのは大変そう(面倒ともいう)なので、せいぜいスーパーで買ってきて食べるくらいで終わってしまうのだ。